......人は語る
これはまだ、時間というものですら曖昧だった、はじまりの世界の話であると。全ての命を生み出すその存在たちは、無限に広がる暗い空間を、星から星へと絶えることなく渡っていた。
「創造神」と呼ばれているその存在たちは、やがて一つの星に渡り着き、ここに自らを模倣した初めての命である「タイタン族」を創りだす。創造神たちと同じ力を与えられたタイタン族だったが、それを使いこなす知恵を与えられておらず、ただ弱肉強食の本能のままに破壊と争いを繰り返す種族となった。 やがて「破壊の星デスト」と呼ばれるようになったその星は、周囲の小さな惑星を次々と飲み込んでいき、その破壊と暴力を拡大させ、成長していくようになる。
これを見た創造神たちは、この愚かなタイタン族を見捨てると、新たな地である 「神聖の星グレイス」にわたり、ここに「女神族」を生み出す。 タイタン族の失敗から、創造神たちは女神族に自らの知恵の全てと、そして力の半分を与えた。こうして、初めての女神である「マリア」が生み出され、 知恵と力を備えて完全な存在となった女神族たちは、惑星グレイスに繁栄と栄光をもたらしていく。長きにわたる観察の末、女神族の種族としての成功に満足した創造神たちは、その記念に自分たちの力の一部を封じ込めた「神々の秘宝」を惑星グレイスの地中深くに埋め、この美しい星を去っていった。
他の創造神たちが新たな星へと渡っていく中、タイタン族創造の主神であった「シャドウ」はそこから離れ、単身で破壊の星デストへと向かう。女神族の成功を目の当たりにしたシャドウは、自分が創造したタイタン族が、どのような命運をたどっていったのかを知りたかったのだ。知恵を与えられなかったタイタン族は、ありとあらゆる破壊と暴力の限りを尽くしたのちに、自らも破壊してやがて滅んでいくだろうと考えられていた。タイタン族の創造の失敗を非難されたシャドウは、他の創造神が生み出した女神族を羨み、そして深い憎悪を持っていた。
かくしてシャドウはデストに降臨し、そこで予見すらすることができなかった光景を見ることになる。シャドウの前にある、確かな命の鳴動を繰り返すその星、怒り、荒ぶり、慈愛のない暴力に満ち>た破壊の星デスト......。
彼らは――タイタン族は、滅びてはいなかった......